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スワン電器の開発力の緻密さを象徴する、もう一つの部品が、エグザームのアーム接合部に使われている一つの金具である。この小さな部品は、はじめ、合金を溶かして金型に流し込み鋳造する方法(ダイキャスト)で作られていた。だがそうすると、製造段階で稀に「鬆(す。鋳物にできた空洞の部分)」が入り、脆いものができてしまう可能性があるという。品質にさらなる安定性を持たせるため、コストは上がるものの、スワン電器ではあえて「プレス方式」を採用した。しかし、プレスはもともと直線的なものを作るのに向いている成形方法であるため、流面的な形に仕上げるのは難しく、この金具のように小さく複雑な部品をプレスで作るのは常識破りなのだという。
林さんによると「もともと、僕たちが手で作った部品が見本ですから、それを忠実に再現しようとすると、どうしても機械的に作ることができない形なんです。それをわざわざ、何段階もの手順を踏んでプレスで作る。大量生産は絶対にできない、手作業の工程なんです。ここまでのことをやってくれるプレス工場は、もう日本にはほとんどないでしょう」とのこと。
エグザームの部品計50点は、自社にある工場で組立てる。約10人で作業して、完成するのは1日で約300台だ。1台1台、漏電チェックをして完了。このように、エグザームはほとんど全ての工程が手作業で念入りに作られている。
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エグザームがパーソナルライトとしても優れている理由は、前述した基本性能とあわせて、ヘッド部分の位置を自在に調節できること、光源が電球形蛍光灯であることなども挙げられる。
電球形蛍光灯は、電球に比べて電気代は約1/4で、寿命は約8倍。そのうえ電球のように熱を持たないので、細かい作業をする場合など、手元だけを照らしたい時、手でヘッドを掴んで、スムーズに自分の顔の下までピンポイントで照らすことができる。また、光自体が明るすぎない、というのも大きなメリットで、たとえば、パソコン脇においた場合、一般的なライトよりも画面への映りこみが少なくてすむ。省エネばかりでなく、実用性での計算も尽くされているのだ。また、蛍光灯の取り替えがしやすいように、カバーがワンタッチで外れる構造になっている。実際に使い始めてみると、こうした細かなことはとてもありがたい。ちなみに、このヘッド部分の開閉式構造は、スワン電器の特許である。
ところで同社では、現在、さらにシンプルな照明を目指し、バネを1本しか使わないデスクライトを開発中なのだそうだ。
「バネにこだわるなんて、とても地味でしょう? 振り返ってみれば、バネは太古の昔から、それこそ人類の歴史とともにある道具。一見、もうこれ以上の変化はないだろう、使い方も出尽くされているだろう、とも思える。そんなプリミティブな道具だけど、それでもやってみよう、まだいけるんじゃないか――そう考えて、あえてバネを進化させているんです。いや、進化というよりも深化といったほうがいいのかな」と黒澤さんは話す。よりシンプルに、より機能性を高く。その基本コンセプトは15年来変わらない。
黒澤さんも林さんも、それぞれ明かりの未来を見据えている。「近い将来、明かりの主流はLEDライトになるでしょう。そうなると環境は一変します。さまざまな形状の明かりができるでしょう」。そう前置きしながら、ふたりは今後考えられ得る明かりの形態や、照明の色、強さ、それによって人間はどう感じ、生活はどう変わるか……など、尽きることなく話してくれた。
そんなふうに未来の照明に自由に思いを馳せる反面、まさしく「手作り精神」を表すひとことが黒澤さんの言葉のなかにはあった。
「やっぱりモノっていうのは、あくまでも手先の延長じゃないといけない。だからこそ、まずアナログの限界を極めてみたいんです」。
スワン電器の作り出す未来の照明にも、期待したくなる一言だ。
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林さんの物理問題(回答・解説)



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自社内にある工場での組立て風景。「自動化はありえないです。すべて手作業です」と黒澤さん。
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組立てが終わったら、1200ボルトを2秒間かけて1品1品を漏電チェック。
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特許を取得したエグザームのヘッド部分。開閉がワンタッチで、横付けになっている電球型蛍光灯が簡単に取り替えられる。
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目下開発中の卓上型ランプ。バネはついに一本になり、ワイヤーもなくした。
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昭和43年、会社設立の契機となった初めてのアームスタンド、「スワンライト」のパンフレット。この頃はワイヤーはもちろん使われておらず、代りにバネが入っている。
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